主な研究

 時と共に変動する偶然量の観測値の系列を時系列という。数学的にはこの 系列を1つの確率過程(確率変数の族)の実現したものとみなす。確率過程の統計解析を時系列解析という。通常の統計学の議論は主に独立標本に対する議論で あるが、時系列解析は過去、現在、未来の系列が互いに従属している(影響しあっている)状況での統計解析である。したがって、より一般的な設定のもとでの 統計解析の議論である。近年、時系列解析は、自然科学、工学、経済学、生物医学などの多方面に応用されて、特に、金融分野の基礎である金融時系列解析は需 要が増大しつつある。またその理論の進展も著しく種々の統計手法が導入されてきている。当研究室では、まず数学理論的研究として、種々の時系列モデル(非 線形時系列、局所定常時系列、長期記憶時系列等)に対して最適推測、最適検定、最適判別理論を局所漸近正規性に基づいて構築している。これら理論的結果の 応用は広く、例えば、生体時系列解析では脳波と筋電波の相関構造解析、金融分野ではポートフォリオの統計的漸近有効推定、バリューアトリスク問題、また種 々の地震波の判別解析等に広がってきている。

 今後の当研究室の目標としては、基礎理論をさらに一般的な時系列モデルに対して構築し、生体工学、金融工学、計量経済学、遺伝子工学等へ応用をさらに広 げていくつもりである。

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